BTS Permission to dance手話の意味や紫色の理由?MV考察&PTD歌詞解説

BTS


2021年7月9日、BTS待望の新曲『Permission to dance』が公開されました。

MVの再生回数は7/21の時点で1.7億回を超え、アメリカ・ビルボードの「HOT100」(7/19付)で1位にランクインするなど、快進撃は止まりません。

『Make It Right』以来、エド・シーランとの2度目のコラボとしても話題になったこの曲は、軽快なリズムにピアノやストリングスが加わったダンスポップナンバー。

MVは、笑顔でマスクを外す人々が映し出されるなど、今の時代に向けたメッセージが各所に散りばめられたものに仕上がっています。

今回は、MVに込められたさまざまな意味や理由を考察し、紐解いていきましょう。

Permission to danceはアナグラムで〇〇という意味!?

BTSのテーマ「多様性」を推し進めた理由

「紫色の風船」を表現した理由

不思議なダンスの謎のワケは!?

1.”Permission to dance”はアナグラムで〇〇という意味!?

『Permission to dance』、直訳すると「ダンスの許可」ですね。

MVの終盤に「PERMISSION TO DANCE」というオレンジ色の文字が浮かび上がりますが、よく見てみると文字の大きさがバラバラになっています。

Permission to danceアナグラム

大きく書かれた文字と小さく書かれた文字の2種類。デザインの一種かな、と見逃してしまいそうですが、大きな文字を抜き出して並び替えてみると、「PNDMC」=「PANDEMIC(パンデミック、世界的大流行)」となります。

残りの文字も入れ替えてみると、「NO PANDEMIC STORIES」=「パンデミックが終わるストーリー」という文ができあがります。

偶然というには、あまりにも出来すぎていると思いませんか?

つまり『Permission to dance』というタイトルには「未来への希望」という意味も含んでいると考えられるのです。

2. BTSのテーマ「多様性」を推し進めたMV

世間の様々な場面で「多様性」という言葉が使われるようになって、随分と日が経ったように思います。BTSはこれまでも、あらゆる視点から「多様性」の重要性やあるべき姿について主張してきました。それは、『Permission to dance』でも変わりません。

2-1.国連でのスピーチと「ラブマイセルフ」の道のり

2018年9月、ニューヨークの国連本部で、BTSがユニセフのグローバル・サポーターとしてスピーチを行いました。

世界中の若者たちに向けて放った「自分自身を語ろう」というメッセージには、これまでBTSが楽曲を通して発信してきた「ラブマイセルフ」=「私自身をまず愛そう」の精神がベースとなっています。

リーダーのRMが行った6分半のスピーチには、彼らならではの熱い想いが詰まっています。

僕たちは 自分自身を愛することを学びました。

だから今度は「自分自身のことを話そう」と。

あなたの名前は何ですか?

何にワクワクして 何に心が高鳴るのか

あなたのストーリーを聞かせてください。

あなたの声を聞きたい。

あなたの信念を聞きたい。

あなたが誰なのか、どこから来たのか

肌の色やジェンダー意識は関係ありません。

ただ、あなたのことを話してください。

話すことで、自分の名前と声を見つけてください。

引用:https://www.unicef.or.jp

BTSは当時無名だった弱小事務所からデビューし、「売れるわけがない」「すぐに解散するに決まっている」という心無い言葉を浴びてきました。

そうした環境下で「自分自身を愛する」ことがどれほど難しいか、想像に難くありません。

さらにリーダーのRMは、「性別」ではなく「ジェンダー意識」という言葉をわざわざ選びんだことには深い理由がありました。

そこに込められているのは、これまでの固定観念に囚われず、本当の意味の「多様性」を目指しいていこう!という強いメッセージが理由です。

BTSはこれまでも、従来の「過剰な男性らしさ」=「トキシック・マスキュリニティ」から逸脱しようという演出を披露していきました。

例えば、前作『Butter』の衣装では、スカートやフリルといったジェンダーレスな衣装を身にまとったメンバーも話題になりました。

アメリカをはじめとする英語圏で異例のヒットを記録し続けているBTS。

しかしそこは、私たち日本人よりも遥かにK-pop文化に馴染みのない土地です。

欧米人に比べ華奢で小柄なアジア人が濃いメイクをして歌い踊る姿は、「女性的だ」などと批判されたこともありました。

裏を返せば、そんなBTSにしか伝えられない「多様性」があるのかもしれません。

「アイドル」「K-pop」「アジア人」…数々の境界線を飛び越えてきたBTSだからこそ、手を取り合って世界的危機を乗り越えようと人々を引っ張ってゆける。

そんな力があるのだと、私は信じています。

2-2職業・人種・年齢・性別…あらゆる「多種多様」の世界

さて、今回『Permission to dance』のMVには、ありとあらゆる老若男女が登場します。

まず、職業に注目してみるだけでも、配達員、清掃員、教師というように、たくさんの人々が登場します。

しかしよく考えてみると、彼らに共通しているのはパンデミックで大きなダメージを受けた人々ということです。

ツイート訳:「彼らがウェイターや配達員、清掃員、教師に敬意を払っているところがすごく好き。

これらの職業はパンデミックの影響を最も大きく受けた職業であり、社会では最も無視され、評価されていない仕事」

さらにMVには、人種も肌の色も性別も年齢も違う人びとが、マスクを外して肩を組む姿が映し出されています。

1日もはやくこんな日が来ればいいのにと、願わずにはいられません。

また、 MV冒頭に登場するウェイトレス役の女性は「リア・キム・トンプソン」という女優です。

彼女はアメリカ人の父と韓国人の母のあいだに生まれたハーフであり、中学・高校ともに韓国の外国人学校を卒業という経歴の持ち主です。

その他にも、「エルトン・ジョンの曲に合わせて歌う」という歌詞に登場する「エルトン・ジョン」という人物は、セクシャルマイノリティを公言しているアーティストです。

彼は1970年代に両性愛者をカミングアウト後、2014年に男性との結婚を果たしました。

今回の『Permission to dance』リリースを通して、BTSとはお互いのTwitterをフォローしあう仲に。

人種や性別の垣根を超えた存在のお二人は、まさしくBTSのメッセージを表現するのにぴったりの逸材といえますね。

この様にあらゆる「多種多様」を尊重しようとの深い意味が見受けられます。

3.「紫色の風船」が表すものとは

『Permission to dance』の MVのあらゆるシーンで登場する、「紫色」の風船。

ジミンとテテが子どもと目を合わせ、慈しむように風船を飛ばす場面もあります。

MVだけでなく、TV番組でのパフォーマンスの際にもセットや小物として頻繁に使われています。

メンバーひとりひとりが風船を受け渡すという演出からも、それが大切な存在だという意味が自然に感じられます。

一体、どのような想いが込められているのでしょうか?

この紫(ムラサキ)色の意味や理由について深く考察してみます。

3-1.ファンとBTSをつなぐ「ムラサキ」という色

2016年11月、メンバーのテテが「보라해(ボラへ)」=「ムラサキするよ」という言葉を生み出しました。

「虹の最後の色である紫のように、相手を信じて末永く愛し合う」という意味の、あたたかなテテらしい言葉です。

(ちなみに韓国語で「紫色」は「보라색(ボラセ)」といいます。)

この素敵な言葉が生まれたきっかけが、ファンからBTSへのプレゼントです。

その日イベントに集まったファン達が、ペンライトにカラーフィルムを貼り付けて会場を紫一色に染め上げました。

この景色を見たテテが口にしたのが「ムラサキするよ」だったのです。

以来、「ムラサキするよ」は英語で「I purple you」、中国語で「紫愛你」というように、世界中のファンの間で大切な合言葉として愛されるようになりました。


さらに記念日やメンバーの誕生日には、世界各国の建物が紫色にライトアップされるなど、「BTSカラーといえば紫」が定着するまでになりました。

日本でも、東京タワーやスカイツリーなどが過去ライトアップされています。

私たちファンと BTSにとって、紫という色は「愛」や「希望」を表す大切な色なのです。

3-2.希望は「見上げるもの」から「掴むもの」へ

紫の風船が、あらゆるシーンに登場する『Permission to dance』のMV。

実は「風船」というモチーフは、昨年から使われていました。

それは、2020年12月に放送された MAMA(Mnetアジアミュージックアワード)での、『Life goes on』という曲でのことでした。

パンデミック直後にリリースされた『Life goes on』は、先の見えない不安に悩まされる人々を、「それでも人生は続く」と優しく包み込むようなバラードナンバーです。

MAMAでのパフォーマンスでのセットは、白くホコリが積もり、まるでパンデミックで時が止まった世界の様相を表しています。

パフォーマンス開始1分2秒頃、メンバーの背後で、凍てついた医療従事者が白い風船を掴み損ねている姿が見えます。

BTS凍てついた医療従事者が白い風船を掴み損ねている姿

出典:https://youtu.be/Gsj_Xq7K-_M

 

心理学では、空目掛けて飛んでいく風船は「夢や希望」の象徴ともいわれています。

それを掴むことのできなかった2020年12月。

新型ウイルスが発見されてから1年の頃、世界はまだ深い混乱の渦の中にありました。

さて、時を経てリリースされた『Permission to dance』では、風船のイメージがガラリと変わっています。

無機質に白かった風船は、紫に色づいています。

メンバーの手にも、子どもたちの手にも、風船はしっかりと掴まれています。

その後、希望は空に飛び立ち、世界へと羽ばたいていく様子が描かれています。

希望に満ちた空の下、最後のサビでメンバーと大勢の人たちが喜びのダンスを踊ります。

終わりのない冬はない、明けない夜はない…そんな深い意味を「紫の風船」で表しているのです。

4.不思議なダンスの理由は「国際手話」

最後のサビでメンバーが踊っているダンス、どこか見慣れない不思議な動きをしています。なぜその様なダンスになったのか理由を考察してみましょう。

4-1.ダンスの意味は「楽しく平和に踊ろう」!

グッドサインで胸を掻き、右手の指で手のひらを払い、最後に両手でピースサイン…ダンスというには、どこか見慣れない動きですね。

その意味は「国際手話」です。

不思議なダンスの「楽しく平和に踊ろう」というメッセージの意味に、世界中のファンはびっくり。

耳の聞こえないファンの家族が、このダンスを見て「彼らが私に楽しもうと言っている」と感動した、という声もあります。

この振り付けの意味を知った世界保健機関(WHO)の事務総長が、公式SNS上で感謝の気持ちを伝えました。

「新曲のミュージックビデオに国際手話ダンスを入れたBTSに感謝を言いたい。

手話によって世界15億人の聴覚障害者たちが、生活にエネルギーを吹き込む音楽を楽しめるようにした」

引用:https://news.kstyle.com

ちなみに、『Permission to dance』がリリースされた7月は、アメリカでは「障がい者の地位向上に向けたプライド月間」とされています。

それを示すかのように、MVの事務所のセットの壁には「disABILITY(障害)」「RESOURCES(支援)」と書かれたスローガンが壁に張られています。

英語の歌詞だけでなく手話を使うことで、より多くの人々にメッセージを届けたい。

ここにも、BTSの「ラブマイセルフ」や「多様性」の精神が息づいています。

4-2.「親しみやすい」ダンスへの変化

これまでのBTSといえば、人間離れしたダンススキルや、一糸乱れぬフォーメーションダンスが代名詞のひとつでした。

実際、パンデミック直前の2020年2月にリリースされた『ON』では、思わず体を心配してしまいそうになるほどの激しいダンスを披露していました。

『Permission to dance』は『Butter』、『Dynamite』などとは、かなり違った雰囲気ですよね。

なぜ、こういった変化を遂げているのでしょうか?

私は、この親しみやすいダンスこそが、今のBTSが伝えたい「人と人との繋がり」なのではないかと思います。

パンデミック後にリリースされた『Dynaminte』以降、SNSや動画サイトでは多くのダンスチャレンジ動画が投稿されるようになりました。

そこには、年齢も性別も人種も、何ひとつとして関係ありません。

 

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音楽やダンスは、言葉のいらないコミュニケーションです。

そのことは、デビューから8年もの間、韓国語の曲をリリースしつづけてきたBTSが世界的ヒットを果たしたということが、何よりも証明しています。

パンデミック以降、ライブや音楽フェスは軒並み中止となってしまいました。

人の集まりは禁止され、あらゆる職業は大きなダメージを負い、かつての日常は失われてしまいました。

BTSも例外ではなく、予定していたワールドツアーせざるを得ませんでした。

そんな世の中に、音楽は何を届けられるのでしょう?

ダンスの持つ力や意味は何なのでしょう?

醍醐味であった激しいダンスを封じて、誰もが気兼ねなく踊れるダンスを取り入れたBTS。

ぼくたちを通じて、世界中の人々にぬくもりのある繋がりを感じてほしい。

思わず体が動き出してしまうような振り付けには、そんな想いを感じます。

「Cause we don’t need permission to dance」=「僕たちが踊るのに許可はいらない」

どんなに暗い状況でも、私たちが幸せになる権利は、誰にも奪えないのです。

5.まとめ『Permission to dance』MVの考察・解説

今回は、BTSの新曲『Permission to dance』MVに含まれる意味や理由を多角的に考察・解説についてまとめてきました。

『Dynamite』は明るい光で世界を照らしつけよう、『Butter』ではどんな状況でも止められないパッション、そして『Permission to dance』では人種も性別も超えた希望の世界へ…と深い意味が込められていました。

パンデミック以降にリリースされたこれら一連の英語曲からは、希望のメッセージが受け取れます。

終わりの見えない不安に、BTSはいつでも寄り添い、未来へと導いてくれるようです。

1日も早く、みんなが顔を合わせ歌い踊れる日が来るといいですね。

ここまでご覧いただき、ありがとうございました。

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